2017/07/23

居住ビザ申請体験記 2015年-2016年版

私は現在、2年間のUppehållstillstånd(居住許可、つまり居住ビザ)を保持してスウェーデンに住んでいます。

学生ビザ、労働ビザなど数種類あるスウェーデンのビザですが、スウェーデン国籍のパートナーと一緒に住む・生活する理由などでスウェーデンに91日以上の長期滞在ビザを申請する場合、いわゆるUppehållstillståndというビザに対してMigrationsverket(移民庁)に許可申請(UT申請)をします。
概念としては配偶者ビザ、同居ビザ、家族ビザといった感じでしょうか。
居住許可の種類には二種類あります。

Uppehållstillstånd(以下UT)
2年間の期限付きの居住許可。スウェーデン国籍・永住権保持のパートナーや家族いる場合などに許可されます。
Permanent uppehållstillstånd(以下PUT)
永住許可。すでにUTを保持している場合は、その期限が切れる前に延長申請をする必要があります。大抵の場合は延長申請が認められ、PUTが下りるそうです。
また、友人やFacebookのUT申請サポートグループ(申請者同士の情報交換グループ)からの情報なので確かなこととは言えませんが、パートナーなどとスウェーデン国外で2年間以上一緒に住んでいたということが証明できる場合、 初回のUTビザ申請でいきなりPUTが許可されることもあるようです。移民庁から直接聞いたことではないので、あくまでもご参考までに。

私の場合、申請から許可までに要した時間は約14ヶ月。
それというのも、ちょうど私が申請をした2015年中期が、アフリカや中東などからの難民希望者が例年になく多くスウェーデンに来て難民申請をするタイミングと重なってしまったからです。
現在のスウェーデンのシステムでは、移民申請処理はもちろんのこと、難民申請に係る手続きも移民庁に一任されています。
ネット上にある個人のブログやThe Localというニュースサイトのフォーラムなどで調べてみると、数年前ならば(もちろん個人のケースによりますが)数か月、長くても1年で居住許可が下りることが多かったそうです。

前置きが長くなってしまいましたが、とりあえず、記憶を頼りにUT取得までのステップを簡単に書き出します。

※申請から許可までのプロセス、提出書類、所要時間などは、すべて私が申請した2015年から居住許可が下りた2016年のものです。
2016年7月に移民申請のルール、要件やプロセスが大幅に変わりました。この記事に書いてあることと今現在の違うところが多くあると思いますので、あくまでも個人の体験として参考にしてください。

(↓をクリック)



①必要書類を揃えて、移民庁のHPから申請(2015-05-12)
2015年5月12日、移民庁のウェブサイトよりUT申請をしました。
申請に必要な書類は前もって移民庁のHPで調べたり、分からない場合は英語でネット上の情報を調べたり、スウェーデン大使館に問い合わせをしたりしました。
取り寄せた書類はすべてスキャナでパソコンに取り込んで、申請時にPDFファイルとしてアップロード。

参考までに、私がPDFデータで申請時に提出した書類一覧です。(※注1参照
 ・パスポート
 ・戸籍謄本(日本語原本・英語翻訳版)
 ・関西で同居していた時の、2人の名前が載っているアパート契約書(日本語原本・英語翻訳版)
 ・婚姻届受理証明書(日本語原本・スウェーデン語翻訳版)

申請する際に提出するデジタル形式の質問シートがとても長く、自由回答の質問では答えを詳細に書かなければいけません。私の場合、2日ほどかけてじっくり書きました。
自由回答の質問、多項目選択質問どちらにおいてもプライベートなことを聞かれる質問が多かったです(馴れ初め、結婚している場合結婚式をしたか、これからの2人の未来について、スウェーデンで何をするつもりか等)。
また、ビザ面接の際、どこのスウェーデンを代表する機関で(つまり大使館や領事館)・どの言語で面接をしたいかの希望も書く欄がありました。

②申請が受理され、パートナーに質問シートが送られる
私の場合では、次の日にパートナーに送られたようです。パートナーは期限内(確か14日以内だったような......)に回答・提出しなければなりません。
私が答えた質問表と似たような質問ばかりでした。

③面接の知らせが来るまでひたすら待つのみ!(2015-05~2016-03)
申請から半年以上が経ち、年も明けた2016年3月、移民庁より面接の予約をするようにとメールを受け取りました。申請のプロセスが少し進んだ証拠です!
指定のウェブサイトから面接の時間を予約します。私は東京の在日本スウェーデン大使館にて、4月下旬の面接時間を予約しました。

④大使館での面接(2016-04)
東京の在日本スウェーデン大使館で面接をしました。
FacebookのUT申請サポートグループでは、質問票に書いたことをそっくりそのまま聞かれたとか、パートナーの両親の名前や誕生日、パートナーと行った旅行先と日付などを事細かに聞かれたとか、色々な情報が錯綜していたので少し不安な気持ちで面接日を迎えましたが、私が聞かれたことはパートナーの名前や誕生日、スウェーデンで何をしたいか等、質問シートの内容に準じた質問ばかりでした。
面接後には、滞在許可が下りた際にただちに発行される居住許可証(別名UTカード。在日外国籍の人向けの在留カードのようなもの)にプリントされる顔写真撮影と署名登録もしました。

⑤さらに待った結果、とうとう許可が……(2016-04~2016-07-15)
面接から3ヶ月後の2015年7月15日、とうとう申請結果が出ました。
こちらもメールで、移民庁より「結果が出ました」との旨だけを連絡されます。申請が許可されたか拒否されたかはそのメールでは分からないのですが、正式な結果は書面で郵送されますよ、としっかりと書いてありました。(その文書は3週間後ほどに届きました)
私の場合、メールの受信直後にパートナーが移民庁のカスタマーサポートに電話してくれたので、申請が許可されたことが分かりました。

⑥その後、渡航まで
その後3・4週間ほどで、発行された居住許可証がスウェーデン大使館よりゆうパック着払いで送られて来ました。

私は申請許可が下りた約1.5ヶ月後の8月末にスウェーデンに渡航したのですが、日本の役所での海外転出手続き、その他の渡航準備はビザが下りる前から進めていたので、スウェーデンへの引越しは特に問題なく進めることができました。

渡航には、ラッキーなことにエアチャイナの片道チケットを格安で購入することができました。
渡航日、購入していたチケットが片道分だけだったということで、空港のチェックインカウンターで滞在許可証に準じるものの提示を求められました。私は事情を説明したのち、居住許可証を提示しました。
居住許可証はEU圏内に入るときの入国審査にて提示が必要になるので、パスポートと共に貴重品として手元に持っておきましょう!


※注1 戸籍謄本・アパート契約書は自身で英訳して、書類の終わりに翻訳が正しいことを明記し直筆署名をしたものをスキャナで取り込みました。下の画像は戸籍謄本英訳の例ですが、念のため日本語原本の戸籍謄本とそっくりにレイアウトして英訳しました。
婚姻届受理証明書の翻訳は、以前スウェーデン語に訳したものをデータとして残していたのでそれを使用しました。
(戸籍謄本英訳の例)


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追記:
UT申請中は、スウェーデンに入国することが原則できませんでした。また、スウェーデン国籍のパートナーは原則スウェーデンに居住していなければいけませんでした。
一番辛かったことは、パートナーと離ればなれの状態でいつこの「待ち時間」が終わるかが全く分からなかったことです。私と同時期に申請し、似た状況に置かれた他の申請者たちも同じような体験をしたと思います。

また、2015年の秋冬と比べると難民申請数もぐんと減ったようには見えますが、移民庁の仕事負担量はまだ変わらないようです。今まで滞っていたケースのバックログや、日々新たに申請されるケースによって、未だにUT許可まで1年以上ほどの待ち時間を要しているようです。

大切なのは、この長い待ち時間・申請から許可までの所要時間は移民庁のせいでも、移民・難民申請者のせいでも、誰個人のせいでもないということです。
今の移民・難民申請の処理システムやスウェーデン国内の法律、世界情勢、タイミング、そのようなことが重なって起こっていることです。
長い間待たされている申請者やそのパートナーのフラストレーションは理解できますが、中には移民庁や移民庁のスタッフ個人に脅しに近いメールを送ったり、長い待ち時間が難民のせいだと決めつける人も少なからずいます。とても悲しいことです。

私のUT申請ケースは既に終わっていますが、この状況がいつかできるだけ早いうちに改善されること、そして申請者には限りませんが、一人ひとりが人の痛みを理解して、例え自分が苦しい状況に陥っても冷静な判断ができることを切に願っています。


出典・参考
Migrationsverket(移民庁ウェブサイト。移民申請に関する最新情報はオフィシャルなこちらで)
在日本スウェーデン大使館
The Local(スウェーデンのニュースを英語で発信。Communityというところがフォーラムです)
Heja Herrljunga! (私とほぼ同時期にUT申請をしたアメリカ人女性のブログ)
I väntan på familjen (Facebook内UT申請サポートグループ。承認制です)

5 件のコメント:

  1. こんにちは。情報が少ないなか、丁寧な文章でとても参考になりました。ありがとうございます。引き続きフォローさせてください。

    私は、2016年8月に申請をし、まだ決定待ちのものです。いつ下りるか分からない決定を待つのに疲れました・・・ただ、もうすぐ1年が経過するので、取得できることを前提として、前向きに準備をしていこうと考えています。

    >日本の役所での海外転出手続き、その他の渡航準備はビザが下りる前から進めていた

    とありますが、具体的に教えて頂くことは可能でしょうか。特に年金や国民年金保険をどうするか、また、個人的に海外保険に入られてたのか、など。何を準備したらいいのか、焦るばかりで、手についていないという感じです。
    一応、スウェーデンで仕事を始めるまで(=納税者になるまで)は、任意で国民年金に入るべきか、と思っています。ただ、スウェーデン語を一から学んでいるレベルなので、いつ仕事が身tかるかも分かりません。また、将来年金をもらえるか分からない時代ですし、また私自身incomeがなくなるのに、任意で払うのはかなり負担に思えるのです。


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    1. kankanさん、
      こんにちは。読んでくださってありがとうございます!
      申請してからもうすぐ1年なのですね。インタビューはされたのでしょうか?ビザまであと一息のところだと思いますので、もう渡航するつもりで準備してしまっていいと思いますよ^^

      さて、私がビザ許可前にし始めていた渡航準備ですが、以下のとおりになります。
      ・船便で荷物の発送
      ・住民税・所得税についての問い合わせ、納税管理人の選任
      住民税は市役所の税務課、所得税は住所を管轄する税務署に問い合わせをしました。
      私は2016年中に源泉徴収をされてない所得が発生していたので、2017年に確定申告・所得税納付が必要でした。2017年はもうスウェーデンに住んでいるだろうと予測し、実家に住む父を私の納税管理人にし、確定申告・納付の代行をしてもらうように手続きをしました。
      ・歯医者に行く
      虫歯になりやすいので、社保があるうちに虫歯を治しました。また、親知らずもチェックしてもらいました。ご存知かもしれませんが、スウェーデンでは歯医者が”医療費定額”システムに含まれていないので、歯医者に行くとなると日本で歯医者に無保険でかかるのと同じくらいの値段になります。プライベートの歯医者保険もありますが、こちらも保険に入れるまで人によっては何回も歯医者に行って歯を治させられることがあるそうです。

      転出届・国保・国民年金の手続きは、転出日を知る必要があったので、ビザが下り飛行機のチケットを買ってから行いました。市役所に行って海外転出届を出すだけで、自動的に転出日から国保も国民年金も無効(という言い方が正しいのでしょうか)になります。国民年金の任意継続は、転出届とは別に年金課などの窓口で行う必要があります。
      私は海外保険には入っていません。スウェーデンでは長期滞在者(パーソナルナンバーを持っている人)なら医療費が定額・安価なので、結構どんな病気をしても何とかなるだろう(笑)と思っています。全体的にアポイントメントまでの待ち時間が長く、日本と比べると病院へのかかりやすさは劣りますが、どうしても待てない!という場合は高くつきますがプライベートの病院に行くことも可能ですよ。
      また、任意で日本の国民年金に加入し続ける選択肢もありましたが、私自身経済的な余裕がないので国民年金からも抜けています。抜けているということは、カラ期間が発生しているということなのですが……。ちなみに、スウェーデンでは長期滞在者ならば、日本のように月々年金保険料を納めていなくても基礎年金が貰える権利があります。

      私もスウェーデン語、まだまだです。こちらに移住してから勉強し始めたので、しかも家ではパートナーと日本語で会話しているので、難しい会話や複雑なやり取りがまだ苦手です。ですが、こんな私でもアルバイトを見つけることができましたよ!多少の運も必要だとは思いますが、労働斡旋局(Arbetsförmedlingen)に登録するのは仕事もしくはバイトを早く見つける一つの手です。SFIやお住まいになる地域のFacebookグループにもきっと求人広告やインターン広告があると思いますので、アンテナを高く情報収集していればきっと大丈夫です。

      大変長くなってしまいましたが、少しでもお力になれたでしょうか。
      ご不明な点がありましたら、またコメントいただければと思います。
      Lycka till!

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    2. こんばんは!コメントのご返信ありがとうございます。とてもとても丁寧に回答頂き、本当にありがたいです!!!!参考にさせて頂きたい、いや参考にします。フル活用させて頂きます(笑)

      >長期滞在者ならば、日本のように月々年金保険料を納めていなくても基礎年金が貰える権利があります

      知りませんでした(笑)以前、パートナーに聞いたら、納税者になってからが年金受け取りの対象になる、と聞いていたので、あれ、話が違う?と(笑) 
      長期滞在は、5年?10年でしょうか? いずれにせよ、それまで日本で国民年金に入る余裕はないので、任意で入らず初めから思い切って抜けてみようか迷います。まあ、早く現地で仕事に就けばよい話なのでしょうが。

      追加の質問があります。
      >UT申請中は、スウェーデンに入国することが原則できませんでした
      とありますが、今年1月に大使館で面接を受けた際、「昨年6月に規則が変わり、90日間滞在できますよ。」と言われました。その為、この夏渡航を予定していたのですが、パートナーが移民局に問い合わせたところ、「入国できるが、渡航の際は、必ず移民局に連絡をください。また、滞在する場合、審査時間にネガティブに影響しますよ。基本、申請中は自国で待機することが原則です。」 と言われたそうです。これについては、どう思われますか?

      もうすぐ申請して1年たつのに、さらに後回しにされるのであれば、さらに1年待機?! と正直ビビっています。ただ、パートナーの兄弟の結婚式に招待されており、参加したいので今情報を集めています。おそらく10日くらいの滞在であれば問題ないのでは?という意見や、入国しても全く問題ない、という意見も多く。。また、スコーネ地方なので、デンマーク経由で入国します。よって、移民局に連絡しなくても、バレないのではないか、と思うのですが。ご意見があればお願いします(^^;

      アルバイトされているのですね!そのお話もぜひ聞きたいです。船便で送るコツなども聞きたいです。
      お忙しいとは思いますが、ブログのアップ楽しみにしています ←プレッシャーかけるようですみません(笑)

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  2. こんにちはf。

    >納税者になってからが年金受け取りの対象になる、と聞いていたので

    その年金は、おそらくTjänstepensionのことではないでしょうか?日本でいうところの厚生年金みたいなものです。
    他にGatantipension(記事中の"基礎年金"です)がありますが、こちらはスウェーデンに40年間住んでいれば支給される年金です。40年以下でも支給はされますが、100%の支給額ではないそうです。

    パーソナルナンバーを持っていれば、ビザの種類にかかわらず長期滞在者のカテゴリーになりますよ。
    ちなみに、多くの低賃金の仕事(バイト、extrajobbなど)ではtjänstepensionがない場合が多いのでご注意を。私の現在のバイトも、tjänstepensionがありません。
    ↓こちらのページ、英語ですが簡単にスウェーデンの年金システムについて説明をしています。ご参考までに。
    http://www.thenewbieguide.se/swedish-pension-system-hard-newcomers/

    移民庁の"short visit"に対する答えは一年前と変わらないようですね^^;
    私は、申請中に2週間ほどスウェーデンを訪問しました。FBのグループで「インタビュー前なら移民庁に訪問を報告しなくても大丈夫、インタビュー後なら万が一のことを考慮して報告したほうがいい」という噂話があり、ちょうどまだインタビューはしていなかったので、噂を信じて移民庁には何も言わず行ってしまいました。
    私もデンマークからEU入国しましたよ!デンマーク経由ならパスポートにもどこのドキュメントにもビザ申請中の私がスウェーデンに入国したことは残らないので、大丈夫だろうと。笑 結局、誰からも何も言われなかったので、私の申請には特に影響なかっただろうと推測しています。
    FBグループにいたある人はインタビュー後にスウェーデンへ訪問したそうですが、行く直前に移民庁に何月何日から何月何日(二週間くらいだったような)まで行きますとメールを送り、スウェーデンから帰国したらその旨を一言報告したそうです。彼女の申請プロセスに大幅な遅れなどはなく、結果が出たのも平均の13.5ヶ月くらいだったようです。なので、10日ほどの訪問で更に一年待たされる事はないと思いますよ。

    移民庁が訪問について厳しく言っているのも、単に違法滞在にならないようにと念を押しているからではないでしょうか。特にインタビュー後だといつ結果が出てもおかしくないので、万が一審査結果がネガティブだった場合、結果が出た時点で申請者がスウェーデン国内にいると何らかの理由でまずいことになるケースがあるのだと思います。それを避けるために渡航前には連絡を、プロセスは一時ホールドされますよ、と訪問を考えている人全員に言っているのではないのかなあと思います。

    引越し時にスウェーデンに持っていったものや船便のこと、バイトのことなどは後ほどブログ記事を書こうと考えています。いつになるか分からないので(特にバイトのこと)、気長に待っていただければ嬉しいです😅笑

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  3. こんにちは!ご返信ありがとうございます!

    >引越し時にスウェーデンに持っていったものや船便のこと、バイトのことなどは後ほどブログ記事を書こうと考えています。

    是非宜しくお願いします。今船で送るために、どの段ボールがいいのかから、検討しています。参考にさせて頂きたいので、楽しみにしています!

    また入国についてのアドバイスもありがとうございました。パートナーに記事の内容を合わせて検討したのですが、ビザが下りるまでは、入国は見合わせることにしました。というのも、移住した後の経済状況や引っ越し費用など、お金がかかることは目に見えているので、まもなく決定が下りるだろう時に、一時的な感情で動くのは良くないよね、ということに。結婚式に出たいのはやまやまですが、移住に向けてセーブできることはセーブしていきたいと思います。ご相談に乗って頂き、ありがとうございました。

    では、またのアップ楽しみにしています!

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